所得制限
昨日のニュース
いずれも「収入」が基準になっている点が肝ですね。その収入には、キャピタルゲインやインカムゲインは含まれない。基本的に給与所得であること。
こういう議論でいつも思うのは、労働所得が高い人をお金持ちと決めつけようとする常識の問題点。お金持ちはその名の通りお金を持っている人で、ストックの概念である。だからフローの給与収入が高い=ストックのお金持ちとは限らない。
例えば給与収入ゼロで資産10億円の老人はこの場合医療2割負担とはならない。
同じく給与収入ゼロで資産からのインカムゲインだけで食べていける世帯は児童手当を受け取ることができる。
当然に政府はその矛盾を分かっているはずである。
しかし資産を基準に課税強化するのは簡単ではない。
・二重課税の問題
給与やキャピタルゲインで課税されたものに再度課税する問題。これは大した問題ではない。現に不動産には取得税や固定資産税がかかる。あまり大きくしすぎることはできないが、課税は可能である。
・支払い能力の問題
資産クラスにも色々とあり換金率の低いものもある。日本の金持ちは多くは不動産で持っているので(特に土地や自宅不動産)、支払い能力がない。無理に金融資産だけ課税しようとすると金融資産から不動産へ資産の逃避が起こる。この問題が一番大きいのかもしれない。
・国際競争力
資産は国際逃避が容易なので自国だけ資産課税を強めると海外への資産逃避が起こる。確かに給与に比べて資産は海外に逃避しやすいが、とは言え節税のためだけに海外に行こうとする人はそれほど多くないだろう。
このように考えると、お金持ち=フローの収入が多い、という形で定義せざるを得ない事情があると思う。
逆に言えば、資産からの収入は非常に優遇されている。キャピタルゲイン、インカムゲインは20%の課税で完結し、累進性はない。これは給与所得が最大55%課税(所得税+住民税)されるのと比べて圧倒的に有利だ。