sukerokuのアーリーリタイア(を目指す)記録

アーリーリタイアをする資産は一応あるが、色々なしがらみや心理的なハードルから思いきれないでいる半端モノの記録

その昔投資の仕事をしていた時に思ったこと

 

大学を卒業してはじめに関わったのが投資の仕事。

 

今から考えればとてもおもしろい仕事なのだろうけど、当時はこんな仕事をやっていてなんの価値があるのだろうと真剣に考えた。

 

当時の僕の感覚だと投資の仕事はビジネスではない。一般的なビジネススキルは全く身につかない。例えば営業、マーケティング、人事、製造管理など。

 

それでも価値があればいいのだろうけど、日本の大企業で投資をしていると自由に自分のアイデアを実行してパフォーマンスに対して責任を引き受け、ボーナスを貰うというスタイルでもない。

 

したがってインデックスに勝つのは至難の業だし、そもそもそういう評価モデルにもなっていない。それなら単純にインデックスを買っておけばいいのではないかと思った。

 

そういう状況においてアクティブ投資をする意味が全く見いだせなかった。

 

当時は色々と投資について学んだ結果、インデックス投資が一番良いという考え方が強かったので、なおさら自分がアクティブに投資をする意義が見いだせなかった。たとえそこそこの給与をもらっていたとしても意義が見いだせないものにコミットすることは難しい。特に理想主義の傾向がある若いころは。

 

今でも基本的な同じ考え方ではある。年金基金などはインデックスに投資しておけばよく、アセットクラス間の配分はある程度重要ではあるが、株式の銘柄を吟味する必要はないと思っている。ただし今やっているように個人でリスクをとって資産を増やすとなると話は別であるが。

 

周りの人の仕事をみていても結局は「ママごと」のように思えた。本当の価値を出していないのに、価値を出しているように見せかけているだけ。仕事をしている振りをしているだけ。

 

投資が本当に好きであればヘッジファンドなどで仕事をすればよかったのだろうけど、当時はビジネス経験を積みたいと思っていた。

 

運用の仕事をしていてもビジネスの経験は全く積むことができない。このままキャリアを重ねていくと本当に何もできない人になってしまうという危惧があった。

 

特に若いときに地に足ついたビジネスを経験しないと、40歳になってからいきなり営業や経営をやれと言われてもできないだろう。

 

運用ビジネスにずっと携わっている人は本当に運用が好きか、他に行き場所の無い人達。前者は良いが、自分はそこまで投資が好きではなかった。仕事としてやっていただけ。そうなるといずれ後者のようになってしまう。

 

当時は若かったこともあり、自分の仕事がどんな「価値」を世の中に付加しているのかということを真面目に考えていた。

 

価値のない仕事をしてお金をもらってもそれは長続きしないし、自分が満足しないと思っていた。

 

多くの若者がそうであるように、自分も若いときは特に理想主義でナイーブであったと思う。特に自分の場合はその傾向が強かった。

 

今であれば年もとって少し違うように考える。

 

そもそも「価値」なんてどんな仕事にもあるといえばあるし、無いといえばない。社会的に価値があるように見える仕事は確かにあるかもしれない(例えば医療とか)。しかし、それも結局は考え方次第で、人の命を救うことは価値があるだろうが、とはいえ人間はいずれ全員死ぬことを考えると、その価値はどの程度のtime horizonで見るかどうかに依存する。

 

逆に価値が無いように見える仕事でも、仕事をして稼いでいる限りは税金も収めて、経済を回すことに貢献しているのであるから、どの範囲で見るか所詮は程度の差だと思う。

 

今であればこのように考える。

 

だからその仕事が好きかどうかは重要ではあるが、その仕事の社会的意義のようなものはさほど気にしない(社会的意義が高いものは好きになりやすいという傾向はあると思うが)。

 

それよりも「稼ぐ」ということをより重視する。結局仕事はお金を稼ぐためにやっている(あくまで個人的な考え)。若いころはやりがいや社会的意義がより重要で、稼ぐことを前面に出すことに躊躇があった。

 

しかし今になって思うのは、仕事は第一に稼ぐことが目的である。これはもちろん個人的にも、社会的にも。稼ぐ仕事はお金を世の中で回すことができる。だから社会的にも意義がある。

 

今であればこのように考えるので、投資の仕事がビジネス経験に繋がらないと嘆く必要はないと思う(若いころの自分にアドバイスするならば)。しかしあの時点でこのようなアドバイスをもらっても受け入れることは難しかっただろうな。

 

ヘッジファンドマネジャーの本を読んでいるととにかく儲けることに貪欲である。そしてそれが好きである。純粋にそのモチベーションは凄いなと思う。

 

20年以上経過して自分もようやく投資することの面白さを感じ始めたところだ。

 

もしかして社会人になって初めの仕事が投資だったことが関係しているのかもしれない。