sukerokuのアーリーリタイア(を目指す)記録

アーリーリタイアをする資産は一応あるが、色々なしがらみや心理的なハードルから思いきれないでいる半端モノの記録

博士前期課程修了という言い方の問題

 

経歴で「博士前期課程修了」と書く人が結構いいる。

 

もちろんこれは間違いではないだろう。

 

大学によっては修士課程とするところと、後期課程を前提とした博士前期課程とするところがある。博士前期課程を修了したのならそれはそれで正しいのかもしれない。

 

しかし博士号を取った自分からすれば、この「博士前期課程修了」という言葉には違和感がどうしても残る。なぜなら前期課程修了ということで、博士課程の半分を修了しているように聞こえるからだ。

 

実際には博士後期課程を修了するには博士号を取らないといけない。博士号を取らなければ博士課程、博士後期課程は修了できないのだ。博士前期課程は要は修士課程である。修士論文を書いて認められれば修士課程=博士前期課程は修了できる。

 

修士論文を通すことは博士論文を通すことの半分くらいの行程ではない。感覚的には20%くらいのイメージ。修士論文が博士論文を構成する一部にはなるが、僕の場合で言うと3本の研究のうちの1つを構成するに過ぎない。しかも、修士論文をそのまま載せられるわけでもなくそこに手を加えたものがようやく3本のうち1本となる。さらにいうと博士論文には3本の研究以外の導入部の議論、先行研究、最後の結論部分の議論、さらに全体を通した一貫性、新規性などが求められる。

 

それらを考えると博士論文から振り返ると修士論文完成時点での進捗は20%かそれ未満である。だから「博士前期課程修了」という書き方が与える、博士課程を半分くらい修了したという印象操作を快く思わない。

 

修士号は実際誰でも多少頑張ればとれる。そこはまだ研究者の入り口でもない。しかし博士号はもっとハードルが高く、そこをクリアしてようやく研究者の入り口である。

 

似たような問題として「博士課程単位取得満期退学」というのがある。これは昔の時代に人文社会学系で殆ど博士号を出さなかった時代なら分かる。しかし今の時代にこのように書くと誤解を与える。博士号の単位取得なんて簡単である。論文指導やゼミ、ちょっと授業にでれば単位なんて簡単に取れる。博士課程は単位を取得することが目的なのではなく、博士論文を書くことが目的であり、授業や単位なんてものは実際に殆ど関係がない。

 

2000年代に卒業したのに「博士課程単位取得満期退学」と書く人は要はドロップアウトを自慢していることになるので意味不明だ。それなら書かない方が良い。修士課程を修了しているのなら、修士で良いのだ。実質的にドロップアウトなのに、「博士課程を一部クリアしたという」誤解を発生させる目的で単位取得退学とするのは好ましくない。