不動産投資か株式、債券投資か?どちらが有利か
先日会社員の知人と話していて感心したのが、1億円程度の不動産投資を借金なしで行っているとのこと。
共働きでそれぞれがそれなりの会社に勤めているので夫婦合わせてそれなりの収入がある。1人1000万円の収入はないかもしれないが、700-800万円程度あれば2人で1500万円である。しかも1人で稼ぐよりも税金は安い。
そして散財しないから子供が2人いても40代半ばで1億円くらいの現金は作ることができる。
それを不動産投資(主にワンルーム)にあてて、ネットで500万円くらいの収入になっているとのこと。
借金を使っていないので5%はネットの利回り。
非常に堅実な話で感心した。こういう賢い夫婦は強い。
昭和のモデルを引きずって大した稼ぎもないのに妻を専業主婦にしたりする家庭に比べれば圧倒的に有利。
と同時に借入金を使わずに不動産投資をすることは債券や株式投資に比べてメリットがあるのだろうかとも思った。
不動産投資の良いところは、
1.価格が株式などに比べて短期的には比較的安定していること(日々の値動きがないから安定しているように見えるだけという側面もあるが)
2.レバレッジを使えること
3.事業化すれば多少経費で落とせること
この3つだと思う。2のレバレッジを使わないなら1と3のメリットしか享受できない。3のメリットは正直言うと大した話ではない(本当に細かい経費の話で数十万円程度は得するかもしれないけど)。
一方で不動産投資にはデメリットも多い
1.建物の価値が減価する
2.流動性がない
3.物理的なリスクがある(相当分散しないと)
4.入居者が入らないリスク
5.物理資産の管理の問題
これらリスクを考えるとやはりレバレッジを使って期待リターンを上げていかないと割に合わないのではないだろうか?
一番の問題は1の価値が減価することだと思う。債券や株式であれば時間の経過とともに価値は減価しない(倒産するリスクはあるが)。しかしマンションは上物の価格が多くを占めるので価値が時間と共に減価していく。
これらデメリットを考えると、メリットの1だけを取りたいなら、株式や債券の方が良いと思う。不動産に投資したいならREITもある。REITは5%近い利回りを実現しているものもあるので、1億円を投資すれば500万円くらいのリターンは生んでくれるし、REITは上に挙げたデメリットを無くしてくれるか、軽減してくれる。
借入金を使わないというのは確かに堅実ではあるのだが。
話を聞いていると飲食やゴルフ代を多少経費化できる点に結構なメリットを感じているようだった。
しかしそれは冷静に考えてみれば大した金額ではなく(ゴルフが経費で落とせるという心理的なメリットが大きい気がする)、もう少し冷静に金銭的な計算をしてみる必要があるのではないだろうか?
経費で落とすと得ではあるがしかしキャッシュアウトは発生する。法人税の実効税率が30%とすると、単に30%くらいのディスカウントで買っているのと同じ。70%はキャッシュアウトするのである。個人事業としても同じこと。
僕自身は現物の不動産に投資する気はまったくない。
投資するとしたら借入金を使うだろうね。
サラリーマンでまとまったお金が数千万円から1億円くらいしかないなら借入金を使って不動産の現物投資をするのは一つの手段だとは思う。
とりあえず働いて数千万円を作って、それからそれを元手に借入をして不動産投資をして、高リターンを狙う。それはあり得る選択肢だ。
ある程度まとまった資金があるならあえて借入金を使って不動産投資をする理由はない。面倒なだけだし無駄なリスクを取るだけである。