米国で増す「アンチワーク」 日経新聞記事より
フォードさんは余暇を優先するため従来の仕事をできるだけしない、あるいは完全に辞め自営業に転じるよう奨励する「アンチワーク(働かない)」運動の草分け的存在だ。彼女が管理者の立場である、米インターネット掲示板「レディット」にあるコミュニティー(サブレディット)の参加者は、20年10月の18万人規模から22年1月には160万人に膨れ上がった。
アンチワークの動きは、中国で増えているという、消費や労働の意欲が乏しい「寝そべり族」の若者との類似性も指摘される。歴史学者で米アイオワ大学教授のベンジャミン・ハニカット氏は「最富裕層の言いなりになり、彼らの利益に資する生き方とは別の選択肢があるのではないか、と私たちは考えているのかもしれない」と語る。
労働が尊いと教え込むことに寄って支配者(経営者)は得をする。しかしその下で働いている社員は上手く利用されているだけ。
たしかにそういう面もあるだろうな。
少子化で労働力が希少になると今の経営側が有利の状況から恒常的に労働側が有利な状況になるかもしれない。それともどんどんと自動化が進んで人がいらなくなるので経営側がますます有利になるかもしれない。
総論として語ることは難しいが、希少なスキルを持っている人は雇われ人としてもやはり有利に交渉ができるし、そうでない人はたとえ労働力が不足している状況でも不利な条件で契約せざるを得ないだろう。
しかし希少なスキルを持つにはその見極めは結構難しい。
一つのスキルだけで希少性を生むのは難しいが2つないし3つのスキルの掛け算で希少性を生むことの方が簡単だと思う。たとえばプログラマーであり、弁護士であるとか。弁護士はさすがに大変だとしても、司法書士やまたは会計士、税理士なら可能性はあるだろう。
勉強ができないなら料理人であると同時に何かスポーツに取り組んでいるとか。
掛け算の良いところは一つのスキルが一流でなくてもよいということ。もちろん3流ではどうしようもないが、1.5流、2流でも2つ、3つのスキルが重なれば掛け算でそれなりの価値を生む。
僕自身は若い頃はそのように考えて一つのスキルに留まらず複数の2流ないし1.5流のスキルの開発に取り組んできた。それが結果的に良かったと思う。
幸いにリタイアするに足りるだけの資産を築いたので40歳以降はそういう事はあまり意識せずに好きなことをやっているが、もしそういう資産状況ではなく働き続けないといけない状況であったなら、今でも複数のスキルを磨いていることだろう。
元のテーマに戻ると、「労働は美徳」という考えが染みついてきた考えを、今は断ち切ることに一所懸命だ。
働かなくてもいいなら別に働く必要はない。働くことが良いことという固定観念を捨てればまた違う世界が見えるだろう。