起業は高リスクか?
この本を読んで改めて考えてみた。
ダンドーのバリュー投資 ——低リスク・高リターン銘柄の発見術
この本はバリュー投資を教える本で、その骨子は帯に書かれている以下の文言があらわしている。
「コインの表なら勝ち、裏でも負けは小さい」
つまり、勝てば大きいし、負けてもそれ程のリスクがないものに投資せよということである。
そんなものが存在するのか?と思うかもしれないが実際に市場は完全に効率的ではないのでそういう機会は今でもたくさん存在するとのこと。
これについては僕も100%同意。
こういう投資が好きな人とそうでない人がいると思うが僕はとにかく損をするのが嫌いなので、損の確率を限定する投資手法は好みである。
僕らは高リスク・高リターン、低リスク・低リターンと教えられてきた。特に教養のある人なら尚更、そのような考えに縛られてしまっているだろう。
だから「低リスク・高リターン」、または「低リスク・中リターン」の世界が存在することが今一つ信じられないのだ。ビジネススクール出のMBAの人達は特にそうかもしれない。
思い返せば僕が起業したときはこういう判断をしていた。
米国でMBAを取ったばかりの20代で起業しなくても、魅力的な選択肢は多数あったし、実際にオファーももらっていた。起業も一つの選択肢であった。
そこで考えたのは、起業して成功すれば大きくプラス、失敗してもまだ若いMBAで市場価値もあり、起業失敗経験もプラスに働くだろうということ。起業の成功、失敗は数年程度で分かる。2,3年で失敗したら外資系のコンサルや銀行などいくらでも行けるチャンスはある。
これは「低リスク、高リターン」だと思った。起業で失敗してもそれはそれで立派だと思ったので、思い切って意思決定することができた。
一応保険としてコンサル会社には数年間の猶予をもらっていた。事情を説明したところ、失敗したらここで働けば良いと言ってくれていた。こういう点で外資系のプロフェッショナル企業は柔軟だなと思った。日本の大企業だとそういう柔軟な意思決定は個人ではできないだろう。
結果的にはまずまず上手くいったので(今のコロナは除き)、低リスク・高リターンを実現できたと思う。
唯一誤算だったのは、数年で成功・失敗が分かると思ったのが、予想よりも低空飛行で、成功もしないが失敗もしないという状況が暫く(5年以上)続いたということ。
あまり年を取ると外資系のコンサルや投資銀行や、PEファンドへの転職は難しくなるので、30台前半では一時的に迷ったことがある。
他社からの誘いもあったりした。そんな小さなビジネスを経営しているより、こっちに来ないかと誘われたこともある。
そういう誤算はありつつも、やはり自分の人生においても、低リスク・高リターンのモデルを追求できたことは良かった。
ビジネスではこれでうまく行ったが、投資においても本格的にこのモデルを試したいと思う。